今の日本人は、祖国に誠を捧げ、負け戦を覚悟の上で敢えて死地に向かって出撃していった特攻隊や、戦争の犠牲者の魂を、踏みにじるような国民になり下がっています。
また、お年寄りたちも、青年期には戦争にかり出され家族や恋人を失い、飢えに苦しみ、生きるか死ぬかの瀬戸際を生き抜きボロボロになりながらも、戦後働きづめに働き、廃墟の中から世界第2位の経済大国にまで見事に復活させてくださったにもかかわらず、一番大きなしわ寄せが来ています。
経営の神様と言われた故松下幸之助さんは、ご著書『21世紀の日本(PHP文庫)』に、日本の良さを、次のように書かれていました。
一、国民所得も世界トップクラス
一、富の公平な分配
一、物価の安定
一、モラルやマナーの良さ
一、教育レベルの高さ
一、美しい自然
一、自由と秩序がある
一、青年が希望を持って生きている
一、老人を大切にしている
一、日本の歴史・伝統が生きている
一、日本の皇室の存在
一、政治の安定
一、世界への貢献
一、平和的・自衛と安全
このような伝統こそ、日本の教育(人づくり)によって創造されたものでした。
日本は世界最古の文明を内包し、縄文時代の太古より宇宙森羅万象に宿る神性や霊性を畏敬し、多様性・融和性を中心とし、祀祭政の三位一体のもと、宇宙一家(家族)の国を育んできました。
宇宙・自然のリズムは、あらゆるものが敵も味方もなく、すべてが共生し生かし合っています。そのリズムそのものを内包しているのが、日本文明・文化です。その大きな特徴の一つが精神性の文化ということです。
例えば、お茶を飲む中にも道の文化があり、それは生き方を育む、つまり心が形(真善美+聖)を創るのです。この人づくりが、かつて日本の教育の中にはありました。
この伝統が日本を技術大国に押し上げ、経済を豊かにしてきたのです。しかし、日本の教育(人づくり)は今崩壊しつつあります。
この危機的状況を放置すれば、日本という国名は残っても、国体は消滅しかねません。
政治を行うのもお金を動かすのも、すべて人の心が行うのです。良い環境は人を育てるかもしれませんが、その環境も人が創るのです。どんな法律を整備しても、暮らしやすい環境を創っても、それを壊すのもすべて人なのです。だからこそ、人づくりは焦眉の急務です。