国家指導者・有識者の魂を揺さぶる高書

木下義昭

 我が祖国・日本は世界に冠たる精神世界かつ科学技術世界のリーダー国家・国民であり、その歴史的使命を天より付託されている。―かねてよりの私の持論だが、木原秀成師が上梓された『檄』シリーズ新刊三冊を拝読すると、その意を益々強くする次第であります。


 「宇宙(自然)の摂理がそのまま日本の国の型・形」と明言、とりわけ、世界の碩学が欽仰する「天皇」について、「むすひの神格者としての天皇を世界平和の盟主、日本国の元首と仰ぎ、日本十二単衣共生文明・文化にもとづく祀祭政一致の国づくり人づくりへの回帰と再生こそ焦眉の急務、今こそ国づくりの型・形を確立する時である」との提言は、まさに我が意を得たりである。


 日本の天皇制度は二千六百七十四年、百二十五代にわたって連綿と受け継がれてきた。心ある世界の指導者、人々から欽慕されている天皇制度である。


 私事にわたって恐縮だが、ワシントンに駐在していた昭和六十年八月、連合国最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥の甥で駐日アメリカ大使を務めたダグラス・マッカーサー二世と会談した際、大使は、いかに叔父マッカーサーが昭和天皇の高潔な人格に感動したかを熱っぽく語ってくれたことがあった。


 昭和天皇は皇太子時代、欧米をご訪問、英国では国王ジョージ五世から「君臨すれども統治せず」の原則を学ばれ、王制と代議制民主主義のありようを認識、目指すべきは「プロイセン型」ではなく英国型国家とされていた経緯がある。 「権威」と「権力」、わが国の歴史を遡ってみても各種の内乱、騒乱、クーデターを最小限に収めたのは「権力」でなく「権威」であった。


 敗戦後、新憲法により、「主権在民」の中で象徴天皇としてその理想像を追究されたご苦労は筆舌に尽くしがたいものと察する。 「象徴天皇」を戴く国体が護持されたことは歴史の必然であり、天の摂理であろう。 「無私」の存在で「公」の為に徹して歩まれるお姿は万人の心を打ち、「覇道」型が多い西洋為政者とは全く異なる。ここにわが国の国体精神がある。 今上天皇も昭和天皇同様に皇后陛下とともに同じ道を歩まれておられる。


 欧米合理主義・左翼革新思想が蔓延する現代こそ、木原秀成師の謂う十二単衣の共生型文明、むすひ文明の新時代を創造すべき時。 新刊三冊は、日本再生を歴史的思想的観点にとどまらず、喫緊の具体策まで明確に教示している。 国家指導者・有識者の魂を揺さぶる高書である。それ故、著者の木原秀成師は、「現代の空海」と評されるのである。


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