新年明けましておめでたくない日本の末期症状
年明けましておめでとうございます。この言葉が年々歳々その響きが悪くなっているように感じるのは私だけであろうか。むしろ、
今年こそは良い年でありますように!!
このような心境に変わりつつあるのではなかろうか。 政治の腐敗・企業不祥事・貧富の二極化・家庭の崩壊・教育荒廃・凶悪犯罪の増加・官僚の堕落・・・・等々、今の日本は仏教でいうところの末法の時代である。 というより、もう救いようのない日本国崩壊のなだれ現象のように思えてならない。
昨年は、戦後60年という節目の年であり、今年は暦が一回転して新しい年巡りの始めの年である。 昨年の暮れ『男たちの大和』という映画が封切りされたが、何人の日本人がこの映画を見ただろうか。この映画の評価は別として、三千人以上の兵士達が死を覚悟して戦い、ほとんどの兵士達は海の藻屑として消え、帰らない人になった。その多くの戦死者は若者達であった。
私は昨年、CMF国際財団(国づくり人づくり財団の前身)がスポンサーになったスカイパーフェクTVで、旅番組を制作した。
そのロケ地の中に、旧日本海軍に縁の深い江田島・呉を選んだのは、戦後60年を期に、もう一度『日本国』を視聴者に考えていただきたかったからである。 私は、撮影を通じいかに戦争が愚かで、多くの大切な生命が一瞬のうちに失われていったかの現実を、たくさんの若者達の遺書や、戦跡を見るにつけ涙をおさえることができず、胸をしめつけられた。
又、同じ様な悲しみを、2003年9月に、南太平洋に浮かぶパラオ諸島の一つである、ペリリュー島の遺骨収集に参加した時も感じた。 ペリリュー島に眠っている英霊は1万3千人ともいわれ、未だほとんどの遺骨が祖国日本に帰れず眠っている。 江田島、呉、ペリリュー島、そして広島は、世界で始めて原爆の被災を受け一瞬にして20万以上の生命が失われ、また、昨年暮れの『男たちの大和』を見させていただき、経済大国となった今の日本は、いかに多くの犠牲者の上に築きあがっているかを改めて考えさせられた。
その真実を、今の日本人はどれだけ感じているのだろうか? 私には、ほとんどの国民は平和ボケして他人事のようにしか見えていないように思える。わずかに、戦前・戦中・戦後直後に生まれた人達の慟哭のように聞こえる嘆きの言葉が、むしろ日本人の今の現実を象徴しているように思えて仕方がない。
誰が鈴をつけるのか?
なぜ、今のような国家意識も愛国心もない日本国民に成り下がってしまったのか?そして、誰が美しき国日本国甦りのために鈴をつけるのか?
私は、約19年前から日本の将来の行く末に不安を感じ、CMF地球運動という遠大なる日本再生計画をたて、昨年の9月3日4日に第1回「夢・地球交響博」と銘打って、その鼓動を起こした。予算的には大幅な赤字だったが、お陰さまで、延べ800人近い賛同者の方々にお集まりいただき、何とか構想の実現に向かって鼓動を起こした。
しかしながら、それはまだほんの目に見えない小さな点にすぎない。そして、その前途はなまやさしいものではなく、命がけの大事業である。 まさに『生か死か』の選択を迫られるくらいの難事業である。
しかも、私のそんな姿を見て、言葉では励ましながらも、冷ややかな目線で見ている人の方が多いかもしれない。事実、私は『国づくり人づくり』と銘打って、各地で構想の講演をしているが、その反応は決して心地よきものではない。わずかばかりの『希望の灯』を見つけて動き続けているのであるが、私とて人の子、生身の人間であるから、時として、虚しさを感じる時もある。
しかし・・・・である、誰かが猫に鈴をつけなければならないように
誰かが不惜身命
捨身の覚悟で
国づくり人づくり
をしなければ、日本国はやがて解体され滅んでしまいかねないからである。
私が生まれ育った山・川をはじめ、生きとし生けるものすべてのお陰さまで大人になった国こそ、この日本国であります。そして、やがて私の生命も尽き、その命は子供や孫そして、まだ見ぬ子孫はこの国で生まれ、この国で育てられる。 そんな、この国、日本国を滅ぼすわけにはいかない。だからこそ、私は立ち上がったのです。 今は、反応は弱くても、また、賛同者は少なくとも、必ずこの国には未来への可能性がマグマのように秘蔵されているはずだ。私は、この国とこの国の国民を信じているのである。
百万人の結集をめざして
今、時代は大きなうねりを持って大転換しつつある。欧米型資本主義はアメリカを中心に世界を動かし、市場経済至上主義は弱肉強食の大競争時代となり、ほんの一部の勝者と大多数の負者の二極化現象を起こし、ますます貧富の差が広がりつつある。このまま時代が進めば、間違いなく格差社会から貧困になってしまう。
貧困社会の最大の問題点は大きく2つある。
一 経済格差社会となる
一 民力・国力が低下する
事実、昨年末、野村総合研究所が20代30代を対象に調査したところ、75%の人が意欲の低下と転職を考えているとのことだった。大多数の国民も貯蓄率は低下し、中小零細企業においては、ますます金詰り現象が深刻化し、ほとんどの企業が倒産の危険性を孕んでしまうのである。 日本の企業の95%は中小零細企業であるから、これは大変なことで、究極は国民全体の意欲が低下することに繋がっていきかねない。 これこそが、私が常々唱えているところの『民力』の低下であり、ひいては『国力』の低下となり、日本国崩壊を招きかねない。
だからこそ、まず百万人の結集をめざし、夢と希望の持てる今世紀を創るための新しいパラダイム(枠組み)を創らなければならない。それこそがCMF地球運動であり、国づくり人づくりである。そして、そこに集う人こそ愛国心ある国士なのだ。