新年明けましておめでたくない2010年
明けましておめでとうございます。この言葉に年々歳々胸の痛みが強くなっている気がするのは私だけでしょうか?
昨年末に、マヤ暦に基づき世界の滅亡を描いた『2012』という映画が公開されました。映画のように街が壊れているわけではないが、世の中の仕組みはまさに崩壊状態にあります。
昨年は日本でも、民主党が自民党を破り政権が交代し期待す る所でありますが、日本が保守本質からずれると大混乱になりかねず、世界的金融危機の余波によって発生したデフレも相まって、2010年はますます日本国に危機が迫っています。
日本も世界も制御不能!
欧米支配型文明をベースにしてきた現代社会もまた、混迷を極めています。お金を儲けるためなら生命を犠牲にし、自然も社会も調和せず、経済も家庭も精神もボロボロという満身創痍の状態は、どれだけ対策を打っても次の更なる悪影響が出てしまうという、制御不能の破滅のトライアングル状態です。
これまでにも機関誌で述べてきた事ではありますが、今一度まとめておきたいと思います。図1のように、経済価値と精神価値のバランスを取りながら社会は発展してきました。
生命あるものと関わりの深かった第1の農業・狩猟社会(原始時代)はトーテミズムという、岩や木や自然への畏敬や崇拝が、心の制御装置(宗教)となって、社会的な生産出力の対極にありました。しかし、迷信めいたものから脱却し宗教が人間の欲をコントロールするようになりました。
そして、産業革命によって物質的な価値へ大転換した第2の産業(工業)社会へ。さらに、目に見えない情報という価値を中心とした第3の情報社会へ大転換しました。
ところが情報社会に入るなり、市場経済主義に価値観が偏重し宗教も呑み込まれました。マクロ的に言えば宗教的価値が魅力を失って、心のブレーキが効かなくなったのです。その結果、地球温暖化や世界金融危機をはじめとする制御不能状態です。国内を見ても、貧困社会・貧富の二極化、教育・家庭・環境・人間の破壊、政治の不透明、弱い者いじめ、倫理・道徳の欠如、デフレ、凶悪犯罪、国・地方合わせて一千兆円の借金・・・挙げればきりがありません。
現代社会を第4の社会をむかえる手前のサナギと捉えるなら、次の手をどう打つかによって、サナギのまま死んでしまうか、あるいは新しい第4の社会を創造できるかのターニングポイントに来ていると言っても過言ではありません。今のような環境破壊が続くなら、あと50年で、地球は滅ぶとする学者もおられます。
その、地球や人類(万類)に危機的な状況をもたらしている3つの問題から、解決策を導いてみましょう。
3つの大変革
破滅のトライアングルの根本原因は、突きつめると「経済」であり、それを動かしてきた「人間」にあります。
そして今、次の如く3つの大変革ビッグバンを起こすしか、生き残る道がなくなりつつあります。
(1)グローバル化
アメリカを中心としたグローバル金融支配・労働支配型は、お金を神様とした弱肉強食社会を作りました。
国境を越えた世界的な自由競争・自由貿易が、「正しい者が勝つのではなく、力のある者が勝つ」「勝った者が正しい」という倫理・道徳なき資本主義をエスカレートさせていったのです。しかし、世界のグローバル化は世界各地で極端な格差を引き起こし、グローバルギャップ(世界格差化)となったのです。そして、すでにグローバルスラム(世界貧民化)が起こりつつあります。
だからこそ、「地球経済」という視点から経済変革を起こさなければなりません。
(2)ネットワーク化
国境を越えた情報技術(IT)社会も、資金力のある大企業が有利な状況を作り出しました。
世界ネットワーク化は、人間の意識や価値観を劣化せしめ、今都合・自分都合・自国都合となり、ネットワークバイオレンス(情報暴力化)となっています。それは、「情報」は「意識」を産み出すからです。
だからこそ「地球人類」という視点から意識(情報)革命を起こさなければなりません。
そしてすでに、ネットワークコンフュージョン(情報無秩序化)が起こりつつあります。
(3)ボーダレス化
地球は今、金儲けの修羅場です。自然も人間さえも無秩序に壊されています。
世界ボーダレス化は、地球温暖化を始め、大気浄化能力の低下・砂漠化・酸性雨・地下水汚染・絶滅危惧種の増加・呼吸障害や皮膚癌など、人体への影響などの山積みされた問題が、ボーダレスジャングル(世界密林化)となっています。
そしてすでに、ボーダレスデザート(世界砂漠化)が起こりつつあります。
だからこそ、「地球社会」という視点から、社会変革を起こさなければなりません。
日本文明・文化が 世界を牽引する時
日本は、縄文時代から1万年以上も続いている世界最古の文明国です。多民族の集まりでありながら、ひとつの民族としてまとまり、他の文化をうまく日本ナイズ化して、十二単衣共生型の素晴らしい独自の国を作りました。
その永い歴史の中で、日本人は宇宙森羅万象の普遍性である「多様性の融和(ムスヒ)」を国家精神(霊性)として共尊共生の国体を創造してきました。
その本義とは、人智では計り知れない神秘なる大霊(ムスヒ)に対する絶対的な畏敬であり、万物はムスヒの分霊であると捉えました。そして、ムスヒの神格者としての現人神を天皇としたのです。
日本はすべてにおいて、時間軸と空間軸が分かれていない、T(時)P(場所)O(機会)に即して柔軟に応じる、つまり権化するという国です。
そういう意味においては、非常に「プラグマティズム(現実主義)」であり、破壊を創造に変え、矛盾さえも合理・不合理を超えた非合理・超合理で融和させるというダイナミズムを秘めています。
それは日本の深層にある、宇宙の普遍性(ムスヒ)とつながっている、縄文文明のマグマが内包されているからです。
地球が破滅か継承(創造)かの選択に迫られている今、諸大国が競争と衝突を繰り返し紆余曲折しながらも合従連衡し、一つの地球社会にまとまらざるを得なくなるのです。
黄金のトライアングルは祀祭政一致
世界は今、前近世的な時代に逆戻りして破滅のトライアングルに向かいつつありますが、それは、1760年の産業革命を発端にした欧米支配型文明の断末魔なのです。
これだけ混迷する世界を今まとめられるのは、祀祭政一致の国体観がある、汎(多)神教の日本だけです。
歴史学者トインビー氏も、アジア主導型文明となるとき「精神ルネッサンスが起こる」と説き、日本の成功は世界の未来をも救うという意味のことを言っています。
また彼は「人間の問題を解決するのに戦争という形態を死滅させなければならない。それは文字どおり世界政府の実現であり、その実現の前提として、根源的で深遠な精神革命があってこそ成功する。それは自己中心性に打ち勝つ革命である」と説いています。
そのためには、人類が精神的に高度成長しなければ成功しないことを意味しています。
祀祭政一致の国
日本の社会には一貫して、ムスヒの精神が流れており、次の3つのマツリゴトができあがりました。
○精霊崇拝のもと、あらゆるものの生命を大切にする【祀りごと】
○自然崇拝のもと、すべてムスヒ(神)の分霊として捉えた【祭りごと】
○祖先崇拝のもと、物事の成り立ちを大切にする精神を社会規範とした【政りごと】
この礎を創造したのは聖徳太子です。太子は、神道(祭)儒教(政)に加えて、土地や豪族の神に支配されない共通信仰として仏教(祀)を導入し、神・儒・仏を統合させました。
そして、豪族達の中心に合議制としての天皇をおき、中央集権国家の確立をめざし、官僚制度平等化の冠位十二階と、国家統治の十七条の憲法を制定。
十七条の憲法はまた、ムスヒの精神から生命(祀)・自然(祭)・社会(政)の3つの秩序を調和させる三位一体を目指したのです。
この祀祭政一致の具体的な形の一つに世界遺産に指定された「紀伊山地の霊場とその参詣道」があります。神道・仏教・修験道という異宗教が共尊共生しながら、今も尚それぞれの特徴を生かしています。
日本は「祀祭政一致」、つまり祀りごと(巫女道)、祭りごと(皇道)、政りごと(武士道)を三位一体として、政治・教育・経営・宗教・家庭・職場・地域社会などに、日本文明独自の国体を創り上げてきたのです。
しかし、残念なことに今、日本は日本でなくなりつつあります。明治以降、脱亜入欧のもと富国強兵策とも相まって、全面的に欧米文明だけでなく文化までも導入し、縄文時代から先人達が永い時間をかけて育んできた、歴史や伝統をことごとく破壊してきました。土台(基礎)のない家は倒れてしまいます。
国家存亡の危機的状況を脱するためには、今一度、日本の文明史観や歴史・伝統・政治・経済・文化などの国体から見直さなければならないのです。
新しい祀祭政日本の国づくり人づくりビッグバンを起こせ
日本は来るべき第4の社会である宇宙的地球社会実現の先導役として、中心的な役割を担う使命を与えられているのです。
そのためには、「古きを尋ね新しきを知る」保守思想を内包し、日本の歴史であり伝統でもある祀祭政一致への回帰と再生のビッグバンを起こさなければなりません。
それこそが、100万人の結集を目指し推進している「誇れる国づくり魅力ある人づくりの9つの事業構想」です。
目覚めた人達が、世の多くの人達の意識変革を引き起こし、そこから政治の流れも社会のあり方も、人間のしあわせの中身も変えていく大きな運動に成長させなければならないのです。
私たちは、時代を選んだのではなく時代に撰ばれた存在であります。今、人類の危機が叫ばれている世の中に生まれているということは、それを建て直し、建て替える使命を与えられている偉大なる撰士なのです。
今の地球も日本も、未来からの預かりものであり、今を生きている大人達は次の世代を担う子供達に、良い国を渡す責任と使命が与えられているのです。これほど価値があり、やりがいがある時代はありません。
今年も、より多くの方の賛同・ご協力をいただきたく、また国民運動に高める所存でございます。よろしくお願い致します。