連載(19)八百万神(人)々の結集 日本独自の文芸復興江戸時代


世界に例のない平和な時代

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慶長8年(1603)2月、約130年間続いた戦国時代が終わり、徳川家康が征夷大将軍に任ぜられ、江戸幕府が開かれました。


それから大政奉還までの264年間、日本はかつてない平和で文明・文化の花開く時代を迎えるのですが、これほど長期間にわたって内乱のない時代が続いたという歴史は、欧米では考えられないそうです。


過去の島原の乱(キリスト教)やスペインが日本を植民地化しようとしていた影響もあり、鎖国にふみきった日本ですが、だからこそ、日本独自の文芸復興(ルネッサンス)が花開き、国内での自給自足経済が実現するのです。


また、失職した武士達は、安土・桃山時代のころから新田開発への活動に転じていきました。その結果、経済的にも高度成長期を迎えることになったのです。


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そして、僧侶や武士の開いた私塾(寺子屋など)や藩の開いた学校によって、教育が日本全国に行き渡りました。読み書きソロバンだけでなく、武家の子供は武士としての、髪結いになる子供は髪結いとしての、心構えや作法・秩序・しつけも含めた教育がなされたのです。


江戸の前期は、上方(大阪)を中心とした、元禄文化が花開き、伝統芸能・娯楽・芸術・経済・物流などが非常に活発になった時代でした。また、後期になると、教育の向上・印刷技術の向上などを背景に、江戸を中心とした町人文化(化政文化)が花開きます。


日本独自の世界に誇れる精神文化

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日本の縮図でもあり、世界でも有数の消費都市だった江戸の町は、経済的に豊かであったわけではありませんが、今で言う「自然エネルギーだけを使った大リサイクル都市・もったいない都市」であり、持続可能なシステムを作り上げたのです。


また、川柳がはやり、庶民の生活をおもしろおかしく描写した十返舎一九の『東海道中膝栗毛』。版画では、東洲斎写楽・葛飾北斎などを代表とする浮世絵などが完成されていきました。


庶民の技術の一つでもある大工にしても、家の間取りと大きさで、切り出す木の太さ、長さを感性の中から割り出し、一片の木片もムダにすることなく、使い切っていったのです。


そんな卓越した技術は、明治維新を迎え、西洋の煉瓦づくりのお屋敷が日本で建設された時、その家のつくりを見ただけで、全く同じものが作れるほどのものだったのです。


1865年に発表されたメンデルの法則は、品質改良に関わる遺伝子の法則ですが、それ以前から既に朝顔などの交配を、自由自在にしていたそうです。


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自給自足であるがゆえに、「天保の大飢饉」などの悲劇もありましたが、それまでの日本の歴史の集大成とも言える伝承文化が花開いた時代であり、下記にあげた現代にも伝承されているものもさることながら、大家と住人の運命共同体(長屋)や、世界に誇れる上水道・ファッション・聖地への巡礼・食文化などなど・・・


江戸文化に代表される『粋(いき)で鯔背(いなせ)』な心意気が生み出した日本文化は、例えば浮世絵が、19世紀フランス絵画の芸術家達、特に印象派のモネ、ドガ、ルノアール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ロートレックなど錚々たる芸術家に影響を及ぼしたように、情性や感性を揺さぶり芸術を向上させうる、世界に誇れる精神文化を築き上げました。


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