連載(3)八百万神(人)々の結集 現代社会12の不安(3)


余程の事がない限り、多くの人は物質的に不自由することはありませんが、毎日の生活をふり返れば、殺人ラッシュアワーの電車やバスに積み残されないよう、他人を押しのけてでも乗らねばならない勤労者や学生たちは、片道一時間半など超満員の車内で立ちつくして通勤・通学しなければなりません。


常に時間に追われ、効率主義の犠牲になって、緊張感からたまるストレスは、精神的不安定を引き起こし、心臓病や胃腸病の原因となっています。 また、情報量の驚異的な増加によって、人々は何をどのように選択してよいか混乱し、ノイローゼや精神病の多発となっています。子供たちも現代社会の矛盾や受験戦争の狭間で苦しみ、精神的圧迫感は登校拒否・いじめ・自殺・ニート・ひきこもりとして現象にあらわれ、犠牲になっています。


8 文化の不安

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毎日毎日豊かさという幻影に惑わされて、働け働け、急げ急げ、効率効率、すべてスピードが優先されて、自分の時間がなくなり、休養・睡眠も十分でなく、また、趣味を持ったり、教養を高める習いごともなかなかできず、その日その日の生活に追われています。人間のしあわせとは物と心の調和がとれてこそ感じられるのに、物質面の豊かさのみ追い求め、その結果、心の豊かさという大切なものを失ってしまっています。スローライフという言葉も最近は聞かれるようになりましたが、実態はその逆方向に進みつつあります。


9 司法・警察制度の不安

国の教育レベルが向上するに従って、暴力・利己主義・犯罪が減少すると考えられていたのに反し、実際にはむしろ増大し、司法・警察の統制がより以上に必要となり、拡大強化される傾向にあります。これは、かつての戦時下における、必要以上の国家権力の乱用と同じ状況を生む心配があり、人間の心や倫理・道徳的な分野まで、その権力が行使されてしまうと、自由な発想や行動というものが制限されて、かえって社会の混乱に拍車をかける心配があります。


産業においても、必要以上の規制は、産業の正常なる発展を妨げる危険性があります。しかし、過度の規制緩和は弱肉強食の社会を生みだし、結果として落ちこぼれた者は、裏経済の道を歩んだり、詐欺・騙しの悪質事件を起こしています。 どんなに統制を拡大して権力を行使しても、人間の心の持ち方や、生き方の姿勢が変わらない限り、無意味なものとなってしまいます。 必要以上の国家権力の介入は、かえって社会や人々を不安にしかねません。 それよりも、人間そのものの再教育が大切だと思います。


10 マスコミの不安

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現在ほどマスコミの影響力の強い時代はなく、21世紀はある意味ではマスコミ時代と言っても過言ではないでしょう。情報技術は飛躍的に進歩し、アラジンの魔法のランプの如く、何事も可能にしてしまうように見えますが、一歩まちがえば一人の人間など、一瞬にして社会的に抹消してしまいかねないのです。まさに諸刃の剣の如くです。


スポンサーという存在と視聴率という圧力が、ともすると報道の自由を奪ってしまい、歪曲された偏った報道になり かねません。 また、番組編成も視聴率をねらった内容であったり、心理学者アブラハム・マズロー的表現をするなら、人間の低次元の欲求といわれている生理的欲求(食欲・愛欲等)番組が多く、倫理性や社会性や尊厳性のある番組が、少なくなっているのではないでしょうか。  『マスコミの暗黙の暴力』等と心ある知識人は警鐘を鳴らされていますが、マスコミの不安はあらゆる分野において、社会に大きな波紋を投げかけています。


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