霊性と病気の関係が見落とされている
現在、主流の西洋医学の最大の欠陥は"霊性と病気"の関係が見落とされていることだ。それは西洋医学が"目に見える領域"である唯物論がベースになっているからにほかならない。
これは前回でも述べたが、WHO(国連の世界保健機構)の"保健大憲章"と全く矛盾する。"病気"とは読んで字のごとく"気の病"である。簡単に言えば、精神的要素が病気と深生命活動を支える3つのシステムく繋がっているということだ。
精神的要素とは"目に見えない"領域のこと。
その点、人間の身体を肉体・心体・霊体と3つの生命体の複合体として捉えるホリスティック医学は、一歩前進しているといえる。
最近になってようやく"目に見えない存在と病気"との関係に気づき"霊性"の大切さを唱える医者が増えつつあることは喜ばしい限りだ。
私は、霊性・ストレス・免疫力(図1)は循環していると考えている。
とは言え、大変失礼だが、ほとんどの医者は、唯物論出身者であるから、その"本質"はあまり掴んでいないように思える。
"霊性"とは、自然・社会・生命の三つの秩序が整っていること
霊性(図2)とは、自然・社会・生命の三つの秩序が整っている状態のことを言う。この三つの要素が"生かし合っている"ことに通じる。これらの秩序が生かし合ってこそ、霊性・ストレス・免疫力は正しく循環するということだ。それこそが、WHOの保健大憲章で定義されている"真の健康"と言える。
霊性の本質を、前述した三つの秩序との関係で唱えているのは、私が初めてであろう。
では、この三つの秩序が整うためには具体的に何が必要だろうか。
それは真・善・美・聖(図3)のバランスがとれていなければならない。
真とは、
哲学性であり、ものごとは自然の摂理でなければならない。
善とは、
倫理・道徳性であり、ものごとは善でなければならない。
美とは、
芸術性であり、ものごとは美でなければならない。
聖とは、
宗教性であり、いかに真・善・美であっても、それが全体的に生かし合っていなければならない。
霊性の三つの秩序は崩壊状態になりつつある
現在、社会は欧米型資本主義を頂点に、弱肉強食の市場経済である。本来、"社会のための経済"であるべきなのに"経済のための社会"になっている。
そのことによって、自然・社会・生命の三つの秩序は崩壊状態になりつつある。このことは誰しも認めつつあることではないだろうか。これこそ、まさに、霊性の低下と言える。
そうなると、図1の循環は"悪循環"になってしまう。最近、話題になっている"免疫療法"もこのような観点から、取り組まなければ、真の解決策にならないと考える。
願わくば、こうした構図を理解され、表面的な霊性論ではなく"霊性"は"聖"、つまり"宗教性"と深い関係があるところまで踏み込んで研究をしていただきたいと考えている。
したがって、今後の医療は"宗教性"を無視しては根本解決にならないのではないだろうか。そこに、現在の病気、特に精神的病気の治療の難解さがあると言える。