霊性の低下を考える こころと健康 第13回


医学者も慎重であって欲しい

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最近、仰天するようなことに出合った。直接心とからだの健康には関係ないことだが、大切なことなので、その話をさせていただこうと思う。


主婦の友社から出版されている健康雑誌に、仏様を写仏する健康法なるものが書かれていた。それも真言密教の中心仏である「大日如来」の写仏である。そして、その著者は医学博士である。


このことについて、小生の私見を述べてみたい。


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小生は、真言密教の僧侶でもある。前述の「大日如来」は真言密教の中心の仏である。これまで、医学関係者の方の『般若心経』の写経に関する書物は、何度か目にしたことはあるが、この度のように「大日如来」の写仏に関するものは見たことがない。


小生も、一般大衆に親しまれている「観音菩薩」とか「不動明王」ならまだしも「大日如来」となるとそうはいかない。


この医学博士が真言密教の僧侶であれば、または、真言密教の行法を行じた経験と、大日如来の本義を悟った人であれば見過ごせるのであるが、そんな経験もないようにお見受けした。


生命にかかわる者の責任

実は、小生もテレビにも出演している医学博士の方とお会いし、真言密教の病気直しの秘法の一つである「お加持」を伝授してほしいと言われたことがあるがお断りした。たまたまその方は「お加持」を学びたいと思っていたので、そのようになったのであるが、「お加持」は単なる技法的なものではないのであり、それなりの行法が必要である。


小生のような、宗教家が病気直しを堂々と、医者の領域まで踏み込むためには、それなりの研究が必要である。
宗教的な側面からの、病気直しの説法ならば、許されるが、医学的な側面からの説法など、よほど勉強していなければできるはずがない。それが、密教の教義も行法も未熟な者が、たとえ医学博士であっても、あまりにも増上慢ではなかろうか。


医学博士なら許せることだろうか。最近は、医学関係者が宗教的領域に踏み込んで「瞑想法」や「健康行」についての本を出版されている方も増えつつあるように思われるが、果たしてそれで良いのだろうか?と疑問を感じ得ない。


少なくとも、「生命」に関わる者は、どのような肩書きを持っていようと、専門外の領域には慎重でなければならないのではないだろうか。


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